なかなか立派なものですよ。


形態はオーソドックスな獅子系のものですね。結構新しいものと見受けます。
MINOLTA DYNAX 3L / MINOLTA AF ZOOM 24-50mm F4 / KODAK 400TX ND-76 1:1 23℃ 8分
ここで蘊蓄話を少々
狛犬は中国語では石獅子と言い、犬に似た想像上の獣の像のことを指すそうで、
朝鮮半島を経由して渡来したときに、高麗犬に狛犬と字をあてたと伝わっています。
古代エジプトやメソポタミアでの神域を守るライオンの像がその源流とする説が有力なようです。
日本に渡ってからは元々の獅子の形態ばかりでなく、お稲荷さんのキツネ、春日神社のシカ、その他
イノシシ、タツ、ヘビ、オオカミ、イヌなど神社の性格に合わせてバリエーション豊かになっています。
英語のアルファベットは「A」で始まり「Z」で終わります。
日本語では「い」で始まり「す」(「ん」)で終わります。(現在は「あ」で始まり「ん」で終わる)
古代インド文語である梵語では「阿(あ)」で始まり「吽(うん)」で終わります。
阿は口を開いて出す音で、吽は口を閉じて出す音です。
阿と吽を合わせ物事の最初と最後、あるいは物事全てを表します。
阿と吽には吐く息と吸う息という意味もあり、阿吽の呼吸で両者の呼吸が同期すると解釈できます。
狛犬の一方が口を開け、一方が口を閉じているのはこの阿吽の呼吸を形にしたもののようです。
仏教寺院では狛犬が仁王の姿に変わり、阿像吽像の立像が仁王門で睨みをきかせていますね。
どちらが先かと言えば、本当は仁王を一対の阿形立像と吽形立像で構成するのが先行して、
狛犬がそれに習って一対の姿になった、ということが真実だろうとされています。
本来の狛犬は吽形の方で、口を閉じて頭に角を生やしている一角獣のようなもの、
阿形の方は口を開いていて、角はなく、これを獅子と言います。獅子舞の獅子ですね。
昭和以降に作られた狛犬の吽形には角がないのが一般的になってきたとのことです。
一対の狛犬は社殿と並行して置かれ、互いに向き合うようにするのが元の姿ですが、
社殿に背を向け、参拝者と向き合うように置かれているものも多いようです。
この畠山神社の狛犬は、互いに向き合うオリジナルの据え方ですが、吽形に角はありません。
余談ですが、京都の神社にはなぜか狛犬がいないところが多いんです。理由はわかりません。
多分、伝統的な日本神道においては狛犬がなじまなかったのではないか、
信仰対象が山や川や岩や森といった自然物などで、神を納める拝殿や神殿がなかったから、
狛獅子や狛犬で守る形を作る必要がなかったのではないか、と私は思うのですが。