一里塚|シャシンとカメラのお板
日々撮りためた写真やお気に入りのカメラ、プチ薀蓄などをご紹介しています
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タイプライター
 
タイプライター#1



写真友だちの keizo-f さんの掲示板クラシックな機械式タイプライターが紹介されていました。
あそこまでクラシックではないけれど、うちにもタイプライターはあったはず、と納戸を捜索したら、、、ありましたぁ!
手提げのハードケースに、取説や購入記録、保証書などと一緒に納まっていました。
中途半端にクラシックでアンティークな機種ですが、ご紹介しますね・苦笑

私が進学した大学の理学部は、教養課程に相当専門課程が入っていまして、
一回生の時から専門書の読破が義務づけられ、2年の教養課程が終わってから考え直す余地のない、
他学部だけでなく、理学部内の各科間の転籍も難しいカリキュラムでした。

私が入学した当時(昭和42年、1967年)、専攻した電子計算機(←懐かしい言い方ですね・笑)の
専門課程を持つ大学は珍しく、読まされる専門書はほとんどが英文、それも IBM 社のマニュアルでした。
特別に購入することもできたのですが、相当高価でおいそれとは買えません。

そこで、演習室や図書館にある専門書をその場で書き写したり、
借り出せるものは借りたり、金持ちの友人が買った書籍を借りたりして、自宅で書き写していました。
学校近くの学生のたまり場になっていたお好み焼き屋兼文房具屋という店にはコピー機があって、
電子リコピーという、仕上がりで気化した処理薬が目に沁みるけど、厚物からのコピーもできるのがありましたが、
その料金が1枚30円、当時の相場では学食でうどん1杯が食べられる値段で、おいそれとは利用できません。

そこに、少々いい加減な理学部の先輩が魔の一言、「タイプライターがあったら、楽やで」
何かと気に掛けて可愛がってくれている先輩の言葉に、心が動きました。
たまたま映画で見たシーンの美人秘書が、かっこうよくタイプライターを叩いている場面を思い出し・・・・
更に、「理学基礎は独文が多いから、ウムラウトが打てたら完璧やな」 と背中を押す。

そこで、家の近所の商店街にある文具店で聞いてみたら、大体3万くらいするらしい。
   ちなみに、この文具店は現在も商店街の同じ店舗で健在です。
そして、店主のおっちゃんの一言がまたまた魔の背中押し、、、、「月々千円か2千円の月賦でいけるよ」

・・・・・・ 数日後、親を説得し、親と伯父を保証人にしててタイプライターを月賦で買いました。
頭金は親に出してもらい、月々払いの2千円は私の小遣いで賄う、という条件で。

タイプライター#2

仕様は、
キー配列は標準のユニバーサルではなく、独文タイプ、
活字体はデザイン性のエリートではなく、シンプルなパイカ、
メーカーは当時の2大ブランドの雄イタリアのオリベッティではなく、国産の雄ブラザー、
要するに、いい加減な先輩に感化されたストーリーのままの流れで、私の決断はブランドだけ。

タイプライター#3

この支払いが終わるまでの一年間、バイクの走行距離は半減、
学食での昼メシは、150円のAランチを我慢して2ランク落とした90円の魚フライ定食か親子丼、
いよいよ小遣いが乏しくなったら、40円のカレーうどんと20円の白メシ、最悪は素うどん30円のみ・泪

さて、それからは、ペチペチとキーを叩いて専門書の必要部を書き写していましたが、
実際のところ、見た目はきれいになりますが、手書きの労力と変わらんなぁ、という感じでした。
それと、もはや独文を書き写すことは殆どない時代になっていて、ウムラウトの出番はなかなか・・・・
こんときばかりは、留年して5回生になってもまだ学校に残っている不良先輩を疑いましたね。

時に部活(ECC)の友人に頼まれてステンシルでガリ版原稿を頼まれることもあり、
提出レポートの英文部分をタイプして、手書きの日本語とハイブリッドなどの使い方をしたり、
そこそこ楽しく使っていたのです。

このタイプライターは、社会人になってからも個人輸入の手続き書類や、
個人輸入した機材やソフトのユーザー登録書類作成などでそこそこ活躍してくれました。
しかし、20年ほど前からはPCのワープロ、ネットでの手続きが簡単にできるようになり、
仕舞いっぱなしの忘れられた存在になっていました。

久しぶりに引っ張り出して使ってみましたら、
パチパチとリボンを叩くタイプ音、行末を知らせる“チーン”という鐘の音、
改行でキャリッジを戻す時の ”コトン、ジー、カタン” という音、その一連動作のリズム感に、
懐かしさもあって、思わずニヤけてしまいました・汗
しかし、キーストロークの長さと重さは、今使うと腱鞘炎になりそうです。

keizo-fさんには ”タイプライターが家にあるとは、「ヤンエグ」ですね。笑” と言われましたが、
決してヤンエグなどではなく、当時の “ものの弾み” の結末なのでありますよ・笑
でも、おかげさまで、忘れていたものを一つ思い出させていただきました。
感謝です。


PENTAX K-3 / smc PENTAX 18-135mm F3.5-5.6 ED AL [IF] DC WR


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コメント
この記事へのコメント
インテリアアクセサリーにするには、チトでかい!
結局、こういうものって、どうすればいいんでしょ!?
2014/10/18(土) 18:00:43 | URL | daddy #stKmQ4cU[ 編集]
daddyさん、確かに嵩高くて重くて、もてあましますね・汗
上の記事に書きましたように、思いと歴史が邪魔をして、不燃物で出すに忍びない・泪
さて、どうしますかねぇ、、、、結局この世への置き土産?  困るだろなぁ
2014/10/18(土) 19:08:06 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
私が勤め始めた頃
職場には、英文タイプライター・和文タイプライター
がありましたね。
しかし使える方は、英語の先生
そして、公務補さんが和文タイプライターを使っていました。
他の先生は、ガリ版だったはず・・・

 私の選択は公務補さんが使っていたものよりかなり新しい
 電動式の和文タイプを使わせてもらいました。

  時は過ぎキーボードになりましたが
  最近は文字を書くのもいいかなどと思う日々でございます。
2014/10/18(土) 20:03:01 | URL | higemajin #-[ 編集]
higemajinさん、私が勤め始めた頃には、本社には総務部タイプ室というのがあり、
専任の女性タイピストが3人詰めていてフル稼働、残業もザラで働いていました。
ただし英文ではなく和文タイプ、それも活字を拾って印字する大がかりな機械式でした。
後にこれらはワープロに変わりましたが、会社の公文書は全てここで作っていました。
英文タイプライターは会長秘書室にあり、IBMのボール式電動タイプライターでした。
英文の文書作成はここでやっていましたが、海外進出して米国子会社ができる頃には
タイプ室に統合されてワープロ化、全ての会社文書を処理するようになりました。
この経験差は、higeさんと私の微妙な世代差なんでしょうね。時代の進みは早い・笑
元々キーボードを叩くのが私の専門ですが、最近手書きで忘れている漢字が多く、
こらぁいかんぞ、と本気で考え始めております・滝汗
2014/10/18(土) 20:32:15 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
ブラザーのこの手は覚えていますが結局買わないで済みました。(笑)
和文タイプは起案文書を作る時に使いましたが程なく一太郎に替りました。
若い頃、テレックスのメンテをしましたが、それが生きた?会社が販売を止める直前に札幌の商社に売れました。
当時のソ連は回線状況が悪くfaxが使えませんでした。
そんな思い出があります。
2014/10/18(土) 20:57:29 | URL | forester #-[ 編集]
foresterさん、これを買ってから、もう47年も経ってるんですね。
使わなくなって20年近く、頑丈なキャリングケースには埃が積もっていましたが、
出して使ったら完動品、問題なく使えました。さすがにリボンはキが抜けてたけど・笑
プラ部品にはひび割れも緩みも歪みもなく、クロームメッキや金属部に錆は皆無、
塗装も剥げや変質がなく、時を刻んだくすみがあるのみできれいでした。
Made in Japan のメカはすばらしいなぁ、と改めて感動しました。

こういう丁寧に作られた上質な仕上がりの製品を見ると、我ら世代はついつい・・・・
“あの頃”に思いを馳せて、思い出話に花が咲いてしまいますね。
2014/10/18(土) 21:28:16 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
さすが理系の人、タイプライターですか。ほとんど触った
事がないままPCに入ったので、なんか触れがたい高級感
を感じてしまいます。もちろん美人秘書つきで・笑
2014/10/18(土) 22:19:45 | URL | kan on mobile #mQop/nM.[ 編集]
kanさん、あの頃、私が買ったちょっと後には(プチ)タイプライターブームがあって、
TVでオリベッティが”真っ赤なバケツ・バレンタイン”のCMを盛んに流していました。
だから、理系文系関係なくそこそこ持ってる人がいましたよ。女の子が多かったけど・笑
私は電算機のオペレーションが勉強そのものなので、キーボードに抵抗はなかったです。
2014/10/18(土) 22:37:18 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
カワイイ色じゃないですか。
オリベッティは確かに赤かったですね。
かっちょいい。
やっぱりヤンエグです。笑
2014/10/19(日) 18:51:29 | URL | keizo-f #-[ 編集]
keizo-fさん、これ、カワイイ色ですか?
当時は事務用品、事務機と言えばこの色、机椅子からキャビネットなどもこの色でした。
少し青みがかったグレイかそれに緑が少し混じったような色が定番、
我々はそれを事務機グレーと呼んでいました・笑
家庭用は白色、業務用は灰色が基調の時代でしたから、またかって感じ・汗
近年は脱ワンパターンで、この基本色は少数派、珍しいかも知れません。
ヤンエグ・・・・ま、見栄のヤンエグと言うことで・爆
2014/10/19(日) 19:30:46 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
中学には、タイプライター部があって、クラスのかわいい系の女の子がたくさんいましたが、高校は仙台は別学なので、さすがタイプライター部は存在すらしていませんでした
2014/10/19(日) 22:44:35 | URL | 亜哉 #6Rfj3HqM[ 編集]
亜哉さん、タイプライター部なんてのがあったんですか、、、知らなんだなぁ。
私が中高とも男子校だったから知らんかっただけなんかなぁ。
一時ブームになった“真っ赤なバケツのバレンタイン”も、
食いついたのは女の子が大半だったような気がします。
2014/10/19(日) 22:51:36 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
ワープロが出始めたのが私が高校生ぐらいだったと思うのですが、それ以前のタイプライターの記憶はあんまりありません。

時々、ハードオフで見かけますが・・・
2014/10/22(水) 11:47:32 | URL | おとにゃん #WOq6nlhY[ 編集]
おとにゃんさん、確か最初のワープロは事務机と一体になった大きさがあって、
値段は100万円超、そのくせ日本語変換は単漢字変換しかついてなかったですね。
英文タイプライターは、私の紹介した機種が出た頃には既に電動式のものが開発されていましたが、
それでも値段は10倍くらいしましたので、機械式優位のまま並行して市場に供給されていました。
その時代をリアルで過ごした我ら世代は、こいつにすごいノスタルジーを感じるんですよ・笑
2014/10/22(水) 12:01:34 | URL | 管理人[MADAM] #.Q7UDCiU[ 編集]
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